観劇連荘のその2。Bunkamuraシアターコクーンの「道元の冒険」です。
作・脚本が井上ひさし、演出が蜷川幸雄、主演が阿部寛という、かなりただごとじゃなさそうな組み合わせの公演です。
「道元の冒険」というだけあって、その主題は日本曹洞宗の開祖である道元の物語。 道元と現代の宗教家(婦女暴行と結婚詐欺の罪で拘留されている)を阿部寛が演じ、それぞれの様子をお互いに夢で見ているという設定。 話のコアとなるのは、道元の新仏教への比叡山・朝廷・幕府からの圧力と、興聖宝林寺の7周年の余興として演じられる劇中劇の「道元禅師半生記」。
ミュージカル…というにはちょっと微妙か。音楽劇といった雰囲気なので、節目節目でがんがん歌が入ります。 それも、賛美歌風だの、マーチだの、カノンだのとなんでもありな感じの曲が(笑)。
見ての第一印象は、「阿部寛でかっ!!」。公証189cmですけど、絶対もっとでかいです。ほかの役者より頭1つでかかった(苦笑)。
あと、特筆すべきなのは役の多さ。全部で60以上の役があるのですが、これを13人の役者で回します。 より正確にいうと、宝林寺の僧を演じない3人は1役のみで、主演の阿部寛は2役だけなので、残り9人で実に50以上の役を演じます。 一番多い木場勝己はなんと8役です。1幕の色んな人間が尋ねてくるシーンでは、僧が徐々に引っ込んでいって、別の人間として出てきます。
脚本でもこれをネタにしていて、同じ役者が演じる役を呼びに行くなどのシーンは本当におかしかったです。 このときの大石継太の台詞「わたくしが行かなければ、義演様は永遠に戻って参りません!!」は、多分一番受けた台詞ではないでしょうか(笑)。
実際、これだけ役の入れ替えが多いので、みんな別の役の衣装の上に法衣を引っ掛けているような感じでした。 ただまぁ、みんな法衣姿で坊主頭なので、いまいち見分けがつかないんですよ、遠い席からだと(苦笑)。 まぁ、舞台が進んでいけば、背格好とかである程度見分けがついてくるんですけど。
最初の方はそんな感じのドタバタ劇なんですが、1幕の途中からはかなり禅の思想の話が増えてきます。 興味ない人は眠くなるかもしれません、ぶっちゃけ。それほどひどい中だるみをするわけではないんですけどね。
印象に残った役は、まず主役の阿部寛ですが、その大きさもあって、存在感がすばらしい。 真顔でコミカルな役をやらせたら、かなりのものでしょう、この人は。
次に大石継太の演じた源実朝。実朝は確かにこういう心情だったんじゃないかなぁと思えました。 あらゆるものへの諦観というか、その上での朗らかさというか。
北村有起哉が演じた劇中劇での青年時代の道元。これもなんというか無鉄砲さとかがよく出ていて、いい役でしたね。 しかし、殴られまくって、頭大丈夫だろうか(苦笑)。
さて、問題はラストシーンなんですが、かなり衝撃的なラストがやってきます。 …というか、どういう意味か理解できない人の方が多いんじゃないかという気がします。 ぶっちゃけ、わたしもその場では理解できず、帰ってきてから他の人の感想を見て理解しました(苦笑)。
今日の公演では、そのラストシーンがあり、暗転、幕が降りる、そして、客席の照明が点く、この時点でようやく拍手が起きるような状況でした。 あまりの状況に、多分「え、これで終わり?」と思った人が多かったんじゃないでしょうかね。
そんなラストもあり、また、ある意味で難解な展開でもあるので、正直万人にお勧めできる舞台ではないかなぁ。 まぁ、わたし自身の感想も、昨日見たのが五右衛門ロックじゃなければ、また違ったかもという気はしますけど(苦笑)。 昨日があまりにストレートな「娯楽」だったもんで、翌日にこれ見たのはちょっときつかったかも知れない。 レベルが高い舞台であるのは間違いないんですけどねぇ。
最後に。バスガイドはいらないんじゃないかなぁ…(謎)。

