先週の土曜日に見てきた、松平健主演のミュージカルです。 なお、すでに公演が終了しているので(昨日が千穐楽)、ネタバレはあまり気にせずに書いていますので、悪しからず。
会場は新国立劇場・中劇場。初台の駅前で、東京オペラシティの隣の建物です(いや、建物としては一応同じなのか?)。
某所からのDMで安いチケットが出てることは知ってたんですが、最初スルーしてました。 しかし、園岡=ダンディ=新太郎氏が出てることを知り、じゃあ見に行くかと思った次第。
チケット取ったはいいものの、主演が松平健氏なので、コマ劇場の座長公演みたいなノリになってるんじゃ…と戦々恐々としながら会場入り。 確かに一般的なミュージカルと比べても女性比率は高かったですが、居場所に困るような状況でもなく一安心(苦笑)。
内容はタイトルにある通り、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」が下敷きになった話ですが、 映画でいえばクリストファー・リー主演のものではなく、F・コッポラ監督のものに近い立ち位置。 ホラーとするのではなく、あくまで悲しい恋愛物語として描いています。
まぁ、ぶっちゃけてしまえば、コッポラ版を昔の少女漫画チックな脚本にして、宝塚テイストな演出をしたミュージカルといったところでしょうか。
ドラキュラ伯爵役の松平健氏は、貴族風の衣装で銀髪。にもかかわらず、なぜか時々、上様に見える不思議(苦笑)。 多分、ドラキュラ伯爵も古風な台詞回しですし、声音が近いからそう感じるんでしょう。
2幕では、このドラキュラ伯爵がフライングします。えーと「ピーターパン」ってミュージカルがあるじゃないですか。 榊原郁恵とか相原勇とかがやってた奴。あれで、ピーターパンがワイヤーで吊られてステージ上空を飛び回りますよね。あんな感じ。 ドラキュラ伯爵が、飛びながら歌います。以下のページにある「スペシャル映像」でちょろっとその様子が見れます。4:18からです。
主役以外で印象に残ったのは、伯爵の幽霊執事バベル役の光枝明彦氏。
いわばこの人は伯爵の「爺」なんですが、その風情が非常にとぼけていて、時に笑いを巻き起こします。 しかし、最終盤では、ヴァン・ヘルシング等へ事の結末を伝えるという、非常に重要な役回りを担います。
そのシーンでの「旦那様は奥様とともに、永遠の眠りにつかれました」という台詞に込められた想い。 そしてその後に朗々と歌い上げる、1曲の歌。 この様はまさに圧巻であり、わたしにとって、最も印象深いシーンになりました。
次に、いわばわたしの目的でもあった、悪魔メフィスト役の園岡新太郎氏。
その化粧と風貌を見たときに、「デスノートにこんな悪魔いたなぁ」と思いました(苦笑)。 メフィストは本に閉じ込められていて、伯爵が呼び出さないと出てこないので、出番は2回しかないんですが、 その短い登場時間で強烈な印象を残しました。 伯爵がヴァンパイアとなるきっかけを作り、またその幕引きの方法を伝えたのがこの悪魔です。
卑屈で、ふてぶてしく、悪意を込めた言葉を吐くメフィストは、ものすごい存在感でした。 歌唱力もすごく安定してますし。というか、園岡さん、えらいノリノリでした(笑)。
ヴァン・ヘルシング役の鈴木綜馬氏は、圧倒的な歌唱力で舞台を支えていますが、 いかんせん、この脚本はヘルシングがさほど重要な役ではないので、どうしても影が薄い…。 正直、この程度の役ではもったいなかったかなぁという思いも(苦笑)。 まぁ、ヘルシングの歌で舞台は幕を開け、ヘルシングの歌で終幕を迎えるので、そういう意味では重要な役なんですが。
ジョナサン・ハーカー役の大澄賢也氏は、やはりダンスにすごい切れがありますね。 ジョナサンが終盤でちょっと嫌な奴として描かれるのは、 婚約者のミーナが伯爵の下へいってしまうことに対するエクスキューズなんでしょうかねぇ…。
で、そのミーナ・マリー役の剱持たまき嬢。可憐なんですが、音域きつそうでしたね(苦笑)。 ヒロインでありながら、男性陣の個性が強烈なだけに、それほど目立っていなかったりするんですが…。
ヴァンパイヤ3人娘(真織由季、初風緑、初嶺麿代)は、強烈な個性で狂言回しの役割を担っているものの、 伯爵が破滅するのは、彼女等の存在が諸悪の根源な気がして、どうにも納得がいきません(苦笑)。 というか、「伯爵の手下」となっているのに、あまりに伯爵とは性質が違いすぎるんだよなぁ…。 ただ、女性陣の中で一番輝いていたのは、間違いなく彼女たちです。
というわけで、「役者を見る」という観点では、非常に楽しめた舞台でした。
不満だったのは、間がなさすぎること。ミュージカルナンバーが終わった後は、拍手をしたいのに、 拍手が鳴り始めたくらいのタイミングで、すぐに次の音が始まってしまうので、どうにも居心地の悪い思いをしていました。
あと、パンフレット扱いなのが、市販されているPhotoBookと呼ばれるもので、ミュージカルナンバーの紹介とかがなかったのがちょっと。 いや、単に自分が東宝系ミュージカルに慣らされてしまっているだけなのかも知れないんですが(東宝系のパンフレットは、大体ミュージカルナンバーのリストがある)。
あとは、ストーリー的なものについては、突っ込みどころは満載なものの、突っ込んだら負けだと思います、この作品は。 ただ、すいません、一点だけ言わせてください。
前述のフライングの前の台詞は「伯爵様ったら、舞い上がってるから」なんですが、 いくらなんでも、舞い上がりすぎだろ!!!(笑)
園岡さんは、8月のサクラ大戦のラストショウも出られるようなので、そちらも楽しみにしておりますわ。 …っていうか、7月8月は見たい舞台が多すぎなんですけど!!

